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執筆者の写真日浅 芳一名誉院長

《日浅名誉院長の知ってためになる心臓病のミニ知識》

更新日:2019年7月19日


No.1 不整脈って治療が必要なの?



不整脈って何?

脈は心臓からでてきた血液の拍動が血管に伝わる状態です。不整脈は脈のうち方がおかしくなる状態です。この原因として2つあります。1つは心臓を動かす電気を発生させる部分に異常(遅くなったり、早くなったり、あるいは場所が移動する)を生じることで興奮形成異常と呼びます。もう一つは、それを伝える電気の通り道に障害をきたすことで興奮伝導異常です。




何が原因で起きるの?

不整脈は必ずしも心臓が悪いから起こるものではありません。最も多い原因は加齢に伴うもので、中年以上の人は24時間あるいは48時間心電図を記録すると、不整脈が全く出現しない人は珍しいくらいです。その他、強いストレスや飲酒、過労等でも生じます。しかし、生まれつきの遺伝による不整脈もあります。小学生や中学生の心電図検診ではこうした遺伝性の不整脈を引き起こす心電図の形をしていないかいつもチェックしています(QT延長症候群、ブルガーダ症候群等)。

また、高血圧、糖尿病等の生活習慣病が重なったり、長期間続くと、長嶋さんやオシムさんがなったような心房細動を生じます。この不整脈は重篤な脳卒中を併発することで有名です。このため、日頃の食事や運動の生活習慣を是正することは不整脈予防の点からも大事です。さらに心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症等の心臓に病気がある人は、不整脈を生じやすく、治療が必要な重症な不整脈が多いのも事実です。



どのような自覚症状があるの?

 不整脈が生じると、正常の場合と比べて心臓が血液を送るポンプの役目が完璧ではなくなります。このポンプの障害が軽微であれば全く自覚症状のない人も多くいます。中等度の障害であれば、動悸、心臓の空打ち感、息切れを感じます。重度の障害であれば、脳に血流が届かず失神やけいれんを起こすことがあります。



不整脈によってどのようなる病気が引き起こされるの?

不整脈から生じる最も怖い病気は心臓突然死です。心不全や先述した心房細動による脳卒中も生命に係る病気です。心臓突然死は電気の発生が病的に心室という心臓の下部から連続的にかつ頻回に生じること(心室頻拍、心室細動)によっておこることが多いのです。この他、極端に脈が遅いときには脳に血液が回らなくなり失神を生じたり、心臓に負担がかかり過ぎ心不全になったりします。



どのような治療が必要ですか?

不整脈の大部分は治療の必要がありません。治療の必要の人は、①生命に係るもの、②心不全や脳卒中等重大な病気の原因となるもの、③日常生活に支障をきたすような苦痛をともなう症状があるものです。

以前は薬剤による治療が主流でしたが、薬剤は不整脈のコントロールしかできず長期間の服薬が必要なうえ、重篤な副作用を来すこともあります。このため治療が絶対必要な人にのみ投薬するようになりました。具体的には、①失神発作があった、②心臓に何らかの病気がある、③数連発以上の危険不整脈が続くことです。最近は、カテ-テルを使った焼却法により、不整脈の源を焼却したり、不必要な電気の通り道を切断することにより不整脈の根本治療をすることが多くなりました。また、脈の遅く症状を伴う人にはぺ―スメーカーを、生命的に危険な速い不整脈が出る人には植え込み型除細動器を移植することはごく一般的になってきました。









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