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  • 執筆者の写真日浅 芳一名誉院長

飲酒後コタツで一瞬気を失った ”めまい”の中には心臓麻痺の前触れがある

先日、70歳代の男性が”強いめまい”があったと外来を受診しました。お酒を飲んでコタツに入っていたら、急に目の前が暗くなり後ろ向きに倒れたそうです。1分もしないうちに意識は元に戻り手足のしびれも無く、しゃべり方も全く異常がありませんでしたが、一緒にいた息子さんに強く受診を勧められました。検査の結果、心臓の血管(冠状動脈)の根元に高度な狭窄が認めました。それが原因で命にかかわる不整脈が一時的に出現し、脳に血液が送れなくなった結果生じた失神と判明しました。適切な治療で全快しました。




患者さんが“めまい”と表現する症状の多くは脳や耳、首に原因があります。しかし、少数ですが心臓に由来する“めまい”があり、突然死(心臓麻痺)の前触れとして知られています。その典型的なものは失神です。失神でも軽いものは立ちくらみであり、患者さんの多くは“めまい”がすると訴えます。


失神は以下の3つの特徴があります。

① 一過性のごく短時間の意識消失

② 姿勢を保持することが困難なこと;程度は色々で倒れるものから何かに掴まらざるを得ないふらっとする軽いものまで

③ 何の形跡も残さず心身ともに完全な回復


 失神と判断されれば、脳や内耳の病気は否定されます。失神は脳の血流が瞬間的に全て遮断される時に起きます。原因で最も多いのは、副交感神経(迷走神経)が緊張状態になり血圧が低下したり、心拍数が少なくなることです。姿勢の変動、痛み刺激、排尿、咳、首の回転等が誘因になり生じます。この型の失神は生命に関わることは殆どありません。

 一方、心臓由来の失神(心原性失神)は必要な治療を行わないと死に至ることが多々あります。医師が診察するときは全く何の異常も認めないことが多く、帰宅し後日心肺停止状態で搬送されることも少なくありません。不整脈が疑われる場合は心電図や24時間ホルター心電図、大動脈弁狭窄症等心臓からの血液の拍出が悪いものであれば心臓エコー検査、狭心症の場合は冠動脈造影検査を行います。失神を疑わせる“めまい”のある方は受診して下さい。

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